トラウマの克服

トラウマとは、過去に起きた恐怖体験で、何度もフラッシュバックされる「過去の失敗」「嫌な記憶」です。

このようなトラウマが脳に刻まれていると、試合会場に入っただけで、不安になったり、怖くなったり、体が震えたり、心臓がドキドキしたり、汗をかいたり、口が渇いたり、胃が収縮したりするようになります。

s-CX112_Lまた、ゴルフや野球などで、体が思うように動かなくなる「イップス」や、特定の相手や状況といった「苦手意識」というのも、軽度のトラウマといえます。

大事な試合でPKを外したサッカー選手には、しばらくPKトラウマで苦しむことは少なくありません。

このようなトラウマを克服するのにも、イメージトレーニングはとても効果的です。

トラウマを克服する上で、絶対的に必要なことは、トラウマに「慣れる」ということです。例えば、大勢の観客の前で大失敗したトラウマを克服するには、大勢の観客の前で成功体験を重ねることが重要なのです。

ただ、試合での実体験の機会を持つことができる選手は多くはありません。たとえば、サッカーのPK戦も、それほど頻繁に起こるものではありません。

しかし、イメージトレーニングを習得すれば、イメージの中で、成功体験を重ねることができるようになります。そうすれば、トラウマに早く慣れることができます。

よく言われるように、脳は、「現実」と「非現実」を区別できません。きちんとリアルにイメージすることができれば、少ない成功体験でも、トラウマは克服できるのです。

なお、トラウマ克服のためのイメージトレーニングを始めるには注意が必要です。トラウマが強ければ強いほど、心身に現れるトラウマ症状が強くなり、「慣れる」どころか、「強化」されてしまうことがあります。

ですから、体をリラックスさせて、トラウマ症状を抑えながら、イメージを繰り返す必要があります。トラウマを強化しないように気をつけてください。

苦手意識のような弱いトラウマならともかく、ひどく厳しいトラウマ症状を抱えている選手は、それが致命的にならないうちに、ぜひ信頼できる専門家の支援を受けることをお勧めします。

例えば、横浜ベイスターズの内川選手は、ドラフト1位で指名されたものの、内野手としては致命的な「送球イップス(送球恐怖症)」にかかり、苦しみました。しかし、心理の専門家からアドバイスを仰ぎ、イップスを克服しました。さらに、2008年のWBCでも大活躍したのです。

イップスやトラウマは早めに処置すればするほど、早く治ります。今、イップスやトラウマで悩んでいる人も、これだけは覚えておいてください。