怪我の予防

怪我の予防こそ、ほとんど知られていないイメージトレーニングの最大の利点です。

<技術習得と定着化>のコラムで解説したとおり、イメージによって、補足運動野を適切に活性化させれば、そのための神経ネットワークが強化されます。体に覚えさせるのに、実際に体を動かす必要はないのです。

s-CX028_Lつまり、イメージトレーニングによって、過剰な負荷がかかり易い身体部位への負担を減らすことができるのです。

野球投手であれば、肘や肩にかかえる負担は相当なものです。しかし、これまでは、実際に投げ込まなければ、肩は作られず、速い球は投げられないと考えられてきました。

しかし、イメージトレーニングを上手く活用すれば、肘や肩への負担をかなり軽減することができるのです。たとえば、投げ込みを半分から2/3にして、残りをイメージで行うのです。

でも、動きだけならともかく、イメージだけで、本当に「肩ができる=筋力がつく」のか?という疑問があるかもしれません。

これがつくのです。イメージだけで筋力があがることも実験で証明されています。

どんな競技においても、トップアスリートほど、パワーやスピードが不可欠であり、その分、一般アスリートよりも身体への負担が大きいものです。

また、野球投手に限らず、トップアスリートの多くは、度々故障を繰り返す古傷を抱えています。フィジカルトレーナーの力を借りて、体をメンテナンスしてもらうのも限界があります。いかなる競技であれ、トップレベルでは、体にかかる負担は計り知れないレベルになるのです。

繰り返しになりますが、適切なイメージ法を行えば、脳内の神経ネットワークを確実に強化できます。これは様々な研究で実証されている事実です。

イメージトレーニングだけで上手くなれるとは言いませんが、技術トレーニングと上手く組み合わせることで、体への負担を減らすことはできるのです。肩に「爆弾」を抱えている野球投手は、イメージトレーニングを組み入れることで、肩への負担を軽減しながら、ピッチング練習ができるのです。

福岡ダイエーホークスの斉藤和己投手は、2003年に20勝して沢村賞を受賞するといった最高のシーズンを送る半面、肩と肘の怪我でシーズンを棒に振ることも多く、苦しんでいます。

年間20勝したといっても、長期的な結果で考えると、斉藤投手は2000年に1軍にあがってからの10年では、79勝しかしていません。つまり、年平均は8勝に過ぎないのです。

怪我をどのように予防するかが、本当に大切なことであるということがわかるでしょう。

怪我の予防はフィジカルトレーナーの仕事と思われがちですが、メンタルトレーニングでできることも大いにあるのです。

なお、このサイトでは数が膨大になるために解説しませんが、怪我の予防だけでなく、怪我の回復力を高めたり、疲労を回復させたりするイメージトレーニングもあります。