技術習得と定着化

ある技術や技能をモノにするために、「体に覚えさせる」ために、ひたすら繰り返すことが必要です。例えば、ゴルフの世界でも、上達するにはダンプカー1台分のボールを打たなければならない」といわれています。

しかし、脳内の「体に覚えさせる」メカニズムが解明されるにつれ、必ずしも実際に体を動かす必要がないことが分かり始めてきました。

「体に覚えさせる=筋肉メモリー」などと言われることもありますが、筋肉には記憶する機能はありません。「体に覚えさせる」という作業は、実際には、脳の「補足運動野」というところに、しかるべき神経回路を構築させることなのです。

そして、脳研究から、ある動作をイメージしているとき、補足運動野では、その動作を実際に行っているときと同じように活性化することがわかっています。

補足運動野で同じような活性化があるということは、実際に体を動かしているのと同じく、その動作の脳神経を強化できているということです。つまり、イメージが技術の習得と定着化につながるのです。

このメリットは何でしょうか?

一番のメリットは、いつでも・どこでも、技術の習得と定着化のトレーニングを行えることです。例えば、フィギュアスケートでいえば、リンクのうえに立たなくても、スピンやジャンプの練習ができるようになります。スキージャンプでいえば、ジャンプ台に立たなくても、踏切りの練習ができます。

イメージがでいれば、時間と場所を選ばないのです!

副次的効果は、体への負担を軽減し、怪我の予防につなげられることです。

また、怪我からのリハビリ中にも行えるため、感覚喪失の後遺症を軽減できるようになることです。

NHK番組『スポーツ大陸』でも紹介されたエピソードですが、1984年のロスアンゼルス五輪で金メダルを獲得した体操の具志堅幸次選手は、手首を骨折し、入院している間に、何度も繰り返し、イメージトレーニングを行いました。

すると、退院後すぐに、ブランクを感じることなく体を動かせるようになっただけでなく、それまでどうしても腕が曲がってしまっていた平行棒の技が、腕を伸ばしたままできるようになったそうです。

なお、注意点としては、初心者や中級者、またイメージ能力が低いひとは、技術定着はともかく、新しい技術習得のイメージ法を行うのは簡単ではありません。。

また、このイメージトレーニングでは、集中力と継続性が要求され、効果を実感するのに時間がかかります。

このようなハードルを乗り越えるには、専門家の支援を受けたり、計画的にイメージ能力の向上に取り組んだりする必要があります