感情のコントロール

2010年の米女子ツアー開幕2連勝を果たした宮里藍。

誰もが知る、その復活のカギはメンタルの安定です。長いスランプで苦しんでいた宮里藍が、メンタルコーチであるピア・ニールソンとリン・マリオットに勧められて行ったメンタルトレーニングは、試合中のプレッシャーがかかる場面において、とにかく「沖縄の青い海」をイメージすることでした。

不安や恐怖、落胆や無力感、怒りやフラストレーションといった「感情」は、確実に、競技パフォーマンスを阻害します。

しかし、このような感情は非常に強いもので、一度沸き起こると、なかなか消えてなくなってくれません。コーチや監督は「気持ちを切り替えろ」というけれども、それがなかなかできずに、多くのアスリートが苦しんでいます。宮里藍ですらそうだったのです。

落ち込んだときには「前向きに考えよう」というけれど、そんなときにはなかなか、プラス思考はできないものです。

私は、不安や過緊張のような感情が起きた時には、考えるのではなく、体に働きかけることによって、感情を鎮静化させるテクニックをずっと指導しています。試合前に不安になるのは、自信がないからではなくて、心拍数が上昇し、体が震えるから、というのが私の考えです。そして、呼吸のコントロールや、ストレッチ、ジャンプなどで体の震えを少しでも静めるように指導しています。

しかし、本当に「ここ一番」で緊張する場面では、これらだけでは不十分です。では何が必要なのか?それがイメージなのです。

呼吸のコントロールは、自律神経系に働きかけ、体を鎮静化させ、ネガティブ思考を追い出す働きがあります。

さらに加えて、楽しいできごとをイメージすると、それが体内の内分泌系(ホルモン・神経伝達物質)に働きかけ、より強力に体全体を鎮静化させる力があるからです。

体への働きかけという意味において、イメージの力というのは、言葉や呼吸よりも強いものなのです。

宮里藍がさらに強くなったのは、彼女のメンタルコーチの指導を受けて、このようなイメージの力を、うまく使えたからなのです。